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COLUMN

大会までにできること 〜食事・栄養篇〜 //〈福岡大学病院〉松田 拓朗さん

UPDATE2019.10.28
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effect編集部

「福岡マラソン2019」の開催まで残り約2週間。本番までの大事な時間をどう過ごすか悩みますよね。誰か助けて〜!ということで編集部スタッフが「本番までの過ごし方」についてプロにアドバイスをもらってきました。今回は「食事・栄養」について、福岡大学病院リハビリテーション部メディカルフィットネスセンターのスポーツ健康科学博士・健康運動指導士 松田 拓朗さんにお話をうかがってきましたのでぜひ参考にしてくださいね。

大会を迎えるまでの食事について
大会の前日・当日の食事について
エネルギー補給について
おすすめの補給食について
「福岡マラソン」の注意ポイント
まとめ
最後に(マル秘メモ公開!)

松田 拓朗(まつだ たくろう)さん
福岡大学病院 リハビリテーション部
メディカルフィットネスセンター 心臓リハビリテーションセンター
スポーツ健康科学博士・健康運動指導士

大会を迎えるまでの食事について

—大会を迎えるまでの食事について教えてください。

松田さん(以下敬称略):練習不足の方は特に、これを食べたら速くなる!というようなものに飛びつきたくなる時期だと思うんですが、いつも通り、普通のバランスの良い食事を摂ることが基本的には大事です。焦って急に食事を変えたりすると不具合が出たり、特殊なサプリメントで体に弊害が出たりということもあるので、あくまでも普通にする。注意したほうが良いのはお酒を飲みすぎないだとか、脱水に繋がる行為を避けることですね。脱水すると体が思うように動かないので、個人的には大会前の一週間くらいは特にお酒を抜くようにして、できるだけ体の水分バランスが良い状態を保つようにしています。

—普段の食事で心がけたほうが良いことはありますか?

松田:体が疲れてくるとタンパク質をしっかりと摂っていかないと筋肉の疲労回復が追いつかないので、体をいかに回復させるかという点でタンパク質摂取は心がけたほうが良いです。運動したらタンパク質摂取っていうのは絶対必用なことなので、運動とペアで考えてください。車を運転したのにガソリンを入れずにどんどん乗り続けていくと車が動かなくなるし、メンテナンスをしないと状態も悪くなるのと同じようなイメージですね。タンパク質だけに限らず糖質・脂質もそうなんですけど、「エネルギー = 傷ついたボディーを治すもの」。運動は体を削る行為になるので、修復しないとボロボロの状態になり怪我や疲労骨折につながります。あと特に女性に気をつけて欲しいことは鉄分不足ですね。走り込むとヘモグロビンが崩れてしまい貧血状態になることがあります。例えばひじきなどを食べて食事で鉄分を摂るのは大事です。牡蠣も鉄分が多く美味しいですが、大会前は避けたほうが良いかもしれません。食あたりも含めて、大会の1〜2週間前から生モノは注意。消化の良いものを心がけましょう。

—どういうバランスで栄養を摂ったら良いですか?

松田:炭水化物(糖質)60%、タンパク質15〜20%、脂質15〜20%ぐらいのバランスが目安です。例えば1日2000kcal摂る方だとしたらその6割の1200kcalは炭水化物で占める。残りの800キロカロリーが脂質とタンパク質なのでそれぞれ400kcalずつ。それを3食で割ると、1食あたり炭水化物400kcal、脂質とタンパク質が133kcalずつというような計算です。減量したいなら脂質を10%くらいに抑えると良いです。一日トータルで摂るカロリーから計算しましょう。

—筋肉の疲労回復におすすめの食材は?

松田:基本的にはお肉。鶏肉が脂身も少ないので一番太りにくいし、その中でもささ身がおすすめです。あと大豆もタンパク質なので味噌汁や豆腐、枝豆、ブロッコリーも良いですね。同じタンパク質でも中身の種類が異なるタンパク質なので、様々な食材からバラエティ豊かに食べましょう。毎食バランス良く摂れたら理想的ですが、日常生活の中ではなかなか難しいですよね。朝摂れなかった分は昼で補うとか、昨日バランスの悪い食事だったからその分明日気をつけるなど、だいたい三日間の中でバランスをとるように考えるとストレスも無く実践できると思います。

大会の前日・当日の食事について

—大会の前日や当日の朝食べるのにおすすめのものを教えてください。

松田:前日・当日の食事って結構影響するんですよね。まず、前日まではバランスを考えた普通の食事でOKです。先ほどお伝えしたように、炭水化物(糖質)60%、タンパク質15〜20%、脂質15〜20%ぐらいのバランスで食事をしましょう。当日はすごく重要で、スタートの3〜4時間前までに朝食を済ませます。なぜなら血糖値のピークは食事を摂取した2時間後にくるんですが、血糖値が高い状態で走ると体の反応として糖質を先に燃やすんですね。糖質って1300〜1400kcalしか体に貯蔵されないので、30kmを過ぎたあたりで使い切っちゃう。そうするとマラソン30kmの壁(30km以降急にペースダウンしてしまう現象)が来ます。自分から30キロの壁を作っちゃうようなものですね。血糖値は食事の3〜4時間後に落ち着きをみせるので、スタートの3〜4時間前までに朝食を済ませるというのはそういう意味合いです。血糖値が落ち着いてから走り始めると30キロの壁は起きにくい。体の脂肪を優先的に燃やしながら走りはじめることができます。

「当日の朝食におすすめその①」ファーストフードとは意外でした!

松田:スポーツドリンクなどは血糖値がぐっと上がるので、スタートの前にたくさん飲むのはおすすめしません。もし飲むのであればスタートの3〜5分前。僕はだいたいアップで2〜3kmだらーっと流して、その消費分をスタート5分前くらいにスポーツ系のゼリー飲料等で補給します。あと摂らないほうがいいものは食物繊維。ガスが発生しやすくなります。普段とは違う特殊なものを食べることや、食べ過ぎもNGです。また、当日の朝食はできれば脂質がちょっと多めの成分にしたほうが良いですね。そうすると脂質を燃やさなきゃって体の働きが変わります。僕は当日の朝早起きしてカロリーメイトのチーズ味1箱とポテトチップスを食べたりします。ポテトチップスはすごく楽に油を摂れるので、当日の朝に食べるのはおすすめ。ただ塩分を摂りすぎるとトイレに行きたくなっちゃうので、半分くらいにしておいたほうが良いです。ちなみに去年は大会当日の朝食に焼肉弁当を試したんですが、油が多すぎて胃もたれしたので失敗でした。できれば食べた時に腹痛・胃もたれがないか、1週間前くらいまでに同じものを食べて試すといいかもしれません。また、血糖値が低い状態でも飛ばしすぎて息切れする状態で走ると糖質を優先的に燃やすので注意が必要です。30km地点を超えたら糖質を燃やしても大丈夫。頑張って飛ばしてOKです。

「当日の朝食におすすめその②」手軽さが嬉しいですね!

—食べたら足が速くなる奇跡の食べ物ってありますか?

松田:ないです(笑)。でも、それに近いものとして少し体力を上げるだろうと言われている食べ物はあって、それは「ビーツ」です。ビーツを食べると一酸化窒素が発生するのですが、それには血管拡張作用があるので末梢までたくさんエネルギーと酸素を運ぶことができます。それに使った分の二酸化炭素も排出させやすくなります。調理してもOKなので、サラダはもちろんスープで摂るのもいいですね。

エネルギー補給について

—エネルギー補給のタイミングを教えてください。

松田:糖質が無くなると筋肉が収縮して体が動かなくなるので、途中の給食(エイド)やサプリメントなどで1時間ごとに40〜50gの糖質を摂取しましょう。僕はサプリメントを4つぐらいポケットに入れといて途中で飲むようにしてます。あと、脱水が怖いからと水を摂りすぎるのは危険です。水は熱を逃がすためにかぶるほうがいいかもしれません。飲むとしたらスポーツドリンクを飲んでエネルギーと水分を体に入れてあげましょう。汗もかいていないのに水分をいっぱい入れると体液が薄まってバランスが崩れ、低ナトリウム血症になって最悪命の危険がある。自分の汗具合をみながら摂取するのが大事です。かといって摂取のタイミングが遅れちゃうと脱水でパフォーマンスが落ちてスピードあがらない…ということもあり、そこがマラソンの難しいところ。補給の計画はとても大事です。難しいですが、計画がバチッとはまったら気持ちよく走り切ることが出来ますよ!

—福岡マラソンではたくさんの給食(エイド)が提供されますが、どれを食べたらいいですか?

松田:水の飲み過ぎに気をつけていれば食べたいものを食べていいです。むしろいろいろ食べて楽しんでいったほうが良いですよ。

おすすめの補給食について

—携帯する補給食はどういったものを持っていくのがおすすめですか?

松田:個人的に塩タブレットは必ず携帯しています。レモン味など、クエン酸が入っているものがいいですね。クエン酸があると糖質の吸収が高まる。エネルギー源にもなるので、クエン酸の入った塩タブレットを買うようにしています。それを右ポケット2つ、左ポケット2つの計4つ持っていきます。その他の携行食で個人的に合ってるなと思っているのがアミノバイタルの「アミノショット」。いろいろ試したんですがすごく飲みやすくて気に入っています。これも4つ持っていって、1時間を目安に1回摂取。カフェインが入ってるものは利尿作用があるので避けたほうが良いです。クエン酸配合のカフェインが入っていない糖質のものが良い。塩タブレットは足がつらないようにするための対策。汗が止まって塩ふいてきたときは完全に脱水してるので、塩タブレットでの補給が大事。アミノショットはエネルギー回復。ガソリン補給ですね。

「福岡マラソン」の注意ポイント

—松田さんからみた「福岡マラソン」の注意ポイントをおしえてください。

松田:坂道、特に上りのペース配分は注意ポイントです。坂道で無理をしない。上りは思い切って歩いてもいいくらいです。無理に息を切らして登っていこうとするとそれだけエネルギー(糖質)を燃やしちゃうので30キロの壁が出やすかったり、エネルギーが燃えた分脚がつりやすくなったりします。中盤20キロ地点の九州大学の坂や、30キロ地点過ぎからの坂(通称のらん坂)など、ああいったところで無理をしない。また、海沿いなどで向かい風なのに飛ばすのも同じような現象になるので、自分が心地よいと思えるペースを保ちながら走るのが鉄則です。あと、風よけや最短距離を意識して走るなどして、体力を奪われないようにすることも大事ですね。

まとめ

  • ①基本バランスの良い食事を摂り、筋肉の修復をしっかりする。
  • ②当日はスタートの3〜4時間前までに朝食を済ませる。
  • ③当日の朝食は脂質をちょっと多めに。
  • ④血糖値が落ち着いてから走り始めると30キロの壁は起きにくい。
  • ⑤エネルギー補給のタイミングが気持ちよく走り切る鍵。計画を立てよう。

最後に

今回の取材では松田さんお手製のマル秘メモを見せてもらいました。大会前の練習や食事についての専門的な情報が詰まっている貴重な内容。ぜひぜひ参考にしてみてください!

※レース3日前の「筋グリコーゲン枯渇」はサブ3.0(3時間以内にゴールする)を目標にする方向きです。それ以外の場合は実施することをお薦めしておりません。

お話を聞いて思ったことは、マラソンには計画・作戦がとっても大事ということ。体の仕組みを知り、自分にあったエネルギー補給のタイミングを掴めたら、もしかしたらすごく気持ち良く走りきれるかもしれない…それってすごくワクワクしますね!みなさんも是非試してみてください。また、もし大会前日にちょっとお腹の調子が悪いかもと思ったらスポーツドリンクなどを飲んで脱水を防いだり、整腸剤を飲むなどして対策しましょう。気づかないうちに脱水状態になっている恐れがあり、当日思ったように力を出せないなんてことになりかねません。参加されるランナーのみなさんがベストな状態で力を発揮できますように!編集部一同応援しています!

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